
お名前:中村さん(仮)
お住まい:埼玉県・戸建て
ペット:猫3匹(実家)
今回は映像関係の仕事をしながら、DIYによる賃貸経営を共同で行っている中村さんにお話しをお伺いしました。
中村さんは「いずれ猫の保護活動に参加したり子供食堂を開きたい」と考えているとのこと。ペット共生住宅の設計アイデアやDIY、ワンルーム賃貸における理想の住まいについて話し合いました。
■賃貸のDIYリノベと保護活動への関心
石原 こんにちは、今日はお時間をいただきありがとうございます。ボランティア活動にご興味があるとのことで、そのお話からお伺いできますか?
中村さん はい。今は映像関係の仕事をしているのですが、将来的にはボランティア活動──特に子供食堂やペット保護──にも取り組みたいんです。子供食堂も保護猫のためのスペースも、コミュニティの空間と捉えることに興味があります。今は古民家をDIYでリノベーションして賃貸に出したり売買したりする人にお金を貸す形で、ちょっとだけ投資活動をしています。
石原 投資活動もされてるんですか。24歳で多方面に興味を持たれているんですね。DIYは、お仲間さんがリフォームして物件価値を上げるみたいなイメージですか?
中村さん そうです。僕はDIYのノウハウはないんですけど、友人が材木を張り替えたり、フローリングを全部剥がして新品にするなど、かなり本格的に改装してるんですよ。僕はお金を出す形で協力して、もし賃貸になったら収益の一部を分配してもらう感じですね。
石原 DIYの賃貸経営を力を合わせてされているんですね。ペット可の物件にしたり、保護活動の拠点にするご予定はありますか?
中村さん いずれペット可の物件も手がけたいです。ペットと暮らしやすい物件ってかなり需要があるのに少ないですよね。僕自身がペット可物件を探しても本当に少なく、あっても高くて手が届きませんでした。ペットへの配慮をきちんとしたDIYをすれば絶対喜ぶ人がいるなと思います。
■ワンルームで猫と暮らす理想の住まいとは
石原 DIYによる『ペット仕様リノベ』は事例も多いですし、お仕事の映像技術を使ったら良い展開がありそうですね。
中村さん そうなんです。床や壁を良くするだけでもニーズはあると思いますが、ペット共生のリノベはどのようなところに気をつけてすると良いのですか?
石原「賃貸のペットリノベは部屋の大きさによって考えるべきことがかなり変わります。2LDK以上であれば、一部屋を猫部屋にすれば快適に住めますが、ワンルームですと雑多な猫グッズに囲まれるような住まい方になるので、設計する立場として、これをうまくできないかと日頃考えています。
私が以前作った、猫と暮らすワンルーム住戸案があって、それを見ていただくと判りやすいかもしれません。



愛猫と暮らすための様々なアイディアと安全性への配慮をギュッと一つの箱に押し込めて、コンパクトマンションにポンと置いたようなユニットデザインです。
具体的には猫との生活の以下のニーズについて考えました。
・キッチンの出入りを遮りながら猫を見たい。
・猫トイレを邪魔にならない位置に置けるようにする。
・猫トイレのにおいを部屋に充満させたくない。
・キャットウォークをデザインと一体化させる。
・ケージは災害避難時の訓練として常用する。
・ペットシーツ、砂、餌等をうまく収納する。
・壁の角で猫が届くところは爪とぎをしても交換できるようにする。
これらを総合的・立体的に考えながらシンプルなワンボックスの中に入れ込み、忍者屋敷のようにいろんな角度から機能を使えるようにしています。

親元から離れた若い方が、快適で自分の砦としての愛着を持って猫ライフを楽しんでいる姿をイメージしながら設計をした、というと聞こえがいいですが、自分が一人暮らしをはじめたときに住みたいと思っただろうデザインを形にした、というのが実際です(笑。
リノベで家具をポンと置いたようなデザインですが、実施する場合は上の階から下階まで通っている配管に合わせて個別に設計をしないといけないですし、事業性を考えるとすべては実現できないかもしれません。猫と楽しく安全に暮らすミニマルな空間のコンセプトデザインだと思ってください。
中村さん 忍者屋敷っぽい仕掛けがおもしろいですね。キッチンの隣のデスクを上げて閉めると猫がキッチンに入れなくなるんですね。計画のもととなっている猫との生活のニーズも参考にさせていただきます。
■結び
中村さんは現在賃貸にお住まいですが、いずれは理想に近い住まいへ引っ越し、ペットと心地よく過ごせる空間を整えたいとお話しされていました。また保護活動についても、まずはNPOに所属して経験を積むところから始めたいとのことです。今回の対談が、中村さんのこれからの一歩を踏み出すうえで、少しでも良いきっかけとなれば嬉しく思います。