
初めてお会いしたとき、お客様は壁を指でコンコンと叩き、太鼓のように響かせながらこうおっしゃいました。
「こういう音がする“プレハブっぽい”感じの家にはしたくない。でも、普通のコンクリートの家とも少し違うイメージなのです。」
そこで構造家とも検討を重ね、建物の中心にコンクリートの堅い壁を設け、そこから屋根を大きく跳ね出して、柔らかい壁で外周を包む構成を作りました。
外周の壁は、内装と外装を兼ねる木を積み上げて作り、コンクリートの屋根との間にスリットを設けて軽さを表出しました。
地面にしっかりと根を張り、その上に大きく屋根が広がるこの形は、鳥や生き物が共に暮らす樹木をイメージしてつくりました。
原始的で力強い共生の空間事例として掲載しました。
