100人との対話 第1回 

――都心で愛犬たちと快適に暮らすには?

防音・共用スペースの課題を乗り越え、新しい住環境を探る――


お名前:葉山さん
お住まい:東京都 区分マンション
ペット:小型犬2匹

今回は都心でイタリアングレイハウンド2匹と小学生のお子さんを育てる葉山さんをお招きし、都心ならではの「ペットと暮らす住環境の悩み」についてじっくりと語り合いました。本文では、現在のマンションで感じている制約やご家族の将来イメージ、ペット共生マンションの実情など、多岐にわたるトピックが登場します。
ぜひ本記事を通じて、「ペットを家族として迎えながら都心で暮らす」ことのメリットや課題、そして具体的なヒントを感じ取っていただければ幸いです。


■対談:築地の70平米マンションで感じる“制約”と“将来像”

石原
「本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、葉山さんの現状について、どんな犬種と暮らしていて、どんなことを感じていらっしゃるのか、お話ししていただけますか?」

葉山さん
「こちらこそ、よろしくお願いします。実は私、築地エリアのマンションに住んでいるんですが、家族構成は主人と私、それに小学生の息子と、イタリアングレイハウンドが2匹いるんです。マンション自体は“ペット可”とはいえ、やはりルールや周囲への気づかいが多くて……。
たとえば廊下で犬を歩かせてはいけないとか、エレベーターでは必ず抱っこしなきゃいけないとか。うちの子たちはあまり吠えないんですけど、共用部分を移動するだけでも『他の方に迷惑じゃないかな…』と常に気を遣ってしまいます。うちは息子も動き盛りなので、ペットと子どもが一緒にわちゃわちゃするときこそ、防音や共用部の決まりがより気になってしまうんです。
私自身、『犬たちも息子ももっと自由に走り回ってほしい』っていう気持ちが強くて、そうなると今のマンションではちょっと厳しい部分があるな…と感じています。」

石原
「なるほど。イタリアングレイハウンドはスタイルがシャープで見た目も優雅ですが、やはりアクティブな面もあり、行動範囲や室内の動きが大きいですよね。共用廊下の抱っこルールとか、犬と暮らしたことがない住人さんからのクレームなど、精神的にもストレスになりそうです。今のマンションの広さは70平米と伺いましたが、防音やペットとの暮らしで具体的にどんな部分に制約を感じますか?」

葉山さん
「広さ的にはそこそこ満足できてるんですけど、やはり音に敏感な方がいらっしゃるようで、『犬の足音が響くかもしれないから騒がしくしないで』という声があったり、管理組合から“エレベーターに乗るときは必ず抱っこ”と厳重に通達があったりするんです。
もちろん、私たち飼い主も『犬を飼っていて申し訳ない』という気持ちがゼロではないので、つい気疲れしちゃうんですよね。うちの子が吠えていなくても、他の犬とすれ違ったときに相手が鳴き出すと、周囲の視線が一気に来るような気がして…。そういうことが続くと、楽しいはずのペットとの暮らしを、遠慮ばかりしながら過ごしているように感じてしまうんです。
それに息子もまだ小学生で、友達を呼びたいとか、みんながワイワイ集まる感じに憧れていて。でも、『犬がいるから迷惑かけちゃうかもね』と躊躇してしまうときがあるのが寂しいです。ペットって一緒に暮らす家族なのに、どうしてこんなに肩身が狭い思いをしなきゃいけないのかな…って。」


■“ペットと住みやすい都心”への期待が高まる理由

石原
「そうですよね。都心部のマンションは敷地の関係で共用廊下も狭くなりがちですし、音が伝わりやすい構造も多い。さらに管理組合が細かくルールを設定すると、ペットオーナーはそのルールを守るために相当神経を使うことに…。
他方、ペット共生を打ち出したマンションとしてとあるペット共生マンションは最上階にドッグランがあると聞きますし、ほぼ全世帯が犬猫を飼っているらしく、めったに空きが出ません。いったん入居された方はずっと住み続けるから、市場にはなかなか出てこないんですよね。」

葉山さん
そのペット共生マンションの話は私も耳にしていて、正直羨ましいです。やっぱり同じ価値観の人たちだけが住んでいるマンションって、想像するだけでワクワクするんですよ。共用部で会ったときも、犬好き同士だと自然に『こんにちは~!』って挨拶が始まりそう。
実際、“ペットを好きじゃない人との摩擦”を心配せずに暮らせたら…という思いはすごくあります。仮にそれが少し高価だったとしても、子どもを含め、家族みんながほっとできる環境を手に入れられるなら『納得の出費』かなと思っています。
私たちが暮らす築地エリアも再開発が進んでいて、跡地利用とかいろいろ構想がありますよね。そこにペット共生マンションができたら、ほんとうに夢のようなんですけど…。『そんな物件、ホントに増えてほしい!』って心から思います。」

石原
「築地や中央区エリアは利便性が高く土地価格も上昇傾向にあるので、デベロッパーからすると採算面で“ペットに特化”することに慎重になりがちなんですね。結局、一般的なマンションにして広く売ったほうが無難…という考え方が多い。でも、実は葉山さんのように『多少値段が張ってもいい、ペット共生という安心感がほしい』と考える層は確実に存在します。
ただ、費用をかけて防音や足洗い場など共用設備を設けても“どのくらい売れるのか?”という課題があって、なかなか企画に踏み切れないというジレンマがあります。でも私自身、ペット共生住宅を専門にする建築家としては、そこに大きな可能性を感じているんですよ。」

葉山さん
「やっぱりそこなんですね…。でも、私の周りにも“ワンちゃん複数飼い”や“猫ちゃん2、3匹飼い”の人がけっこう多くて、『どこも受け入れ先が少ないよね』と嘆いている話をよく聞きます。売りに出たらすぐに埋まっちゃうから、なかなか見つからない。だから、“需要はあるのに供給が追いつかない”のが現状なのかなって。
実際、私の場合“イタリアングレイハウンド2匹いるけど大丈夫ですか?”って不動産屋さんに問い合わせたら『小型犬1匹までが限度です』なんて断られた経験もあるんです。マンションの規約で厳密に頭数制限があったり、そもそも中型犬以上は厳しいとかいう話もよく聞きますし…。」


■新たな設計アイデア:防音対策とコミュニティ重視の住まい

石原
「そうなんです。頭数や体重制限など、ペットOKでも詳細を読むと『これは実質無理では…?』というケースも多い。私どもが今考えているのは、葉山さんが仰ったように“犬や猫を家族にしている人たち”が主体のマンションです。共用部に足洗い場を設けたり、もし可能ならドッグランやグルーミングルームなどを整備して、みんなで経費をシェアできる仕組みを作る。
さらに注目したいのが“防音”ですね。例えば老犬になると夜泣きが始まったり、若い犬でも分離不安で昼間吠える子がいる。そのときしっかりした壁や床にしておけば、トラブルを最小限にできます。ただ防音に力を入れるほど施工コストが上がるので、住民同士が最初から合意しておくのが理想。そういった意味で、コーポラティブハウス方式も視野に入れているんですよ。」

葉山さん
「コーポラティブハウスって言葉は聞いたことがあるんですが、正直どういう仕組みなのか詳しく知らなくて。でもみんなで“こういうふうにしたいよね”と話し合って作れるなら、それってものすごく魅力的ですよね。
たとえばうちの場合、やっぱり息子が友達を連れてきても遠慮なく走り回れるぐらいのスペースがあるといいし、足腰に優しい床材を選べれば愛犬たちも安全だし、玄関に足洗い場があれば汚れを気にせずお散歩できそう。そういう『こうだったらいいのに…』を具体的に実現できるのが夢みたいです。
ただ、実際問題として『都心に土地を確保する』とか『費用がどのくらいになるのか』という不安は拭えませんけど、それでも本当に皆さんが協力して“ペット共生”を徹底すれば、気まずい思いもクレームも減るし、子どもにとっても最高の環境になるはず。私は『そのくらいしっかりしたマンションなら、一生の財産になるかも』って期待が膨らみます。」

石原
「葉山さんのように“防音と共用設備をしっかり整えて、犬も子どもものびのび”というニーズを語ってくださる方は、最近増えてきています。実際にはコスト面や施工スケジュールなど様々な課題がありますが、私としても“やる価値が十分にある”と思ってます。もし葉山さんのエリアで具体的な進展があればぜひご意見を頂戴して、より良いマンションをつくれたら嬉しいですね。」


■これからの行動:お互いに情報をシェアして“理想の住まい”へ

石原
「葉山さん、この先もし理想的なペット共生マンションがあれば引っ越しも検討したい、ということでよろしいでしょうか。現マンションでの防音対策なども、管理会社に相談してみるのも手かもしれませんね。」

葉山さん
「そうですね、実はすぐに動けるほど準備万端ではないんですが、『犬たちも子どもものびのび暮らせる場所があるなら絶対に見てみたい』と思っています。だから、まず管理会社に相談しつつ、石原さんが提案する“MUSUBI house”のようなプロジェクト情報が出ればぜひ教えていただきたいです。
それから、築地の再開発とか、中央区でペット共生型マンションの計画がないか、私自身ももう少し調べてみようかなと思います。やっぱり息子の学区や主人の通勤なども考えると、今のエリアが便利なんですよ。だから、もし都心で『ペットOKでしかも環境バッチリ』って物件に出会えたら、多少高くても一生住む気で挑戦したいですね。」

石原
「ぜひ一緒にアイデアを出していきましょう。私はいま色々なデベロッパーさんやコーポラティブハウス方式の方々と話をしていて、ニーズが具体的に見えてくれば、何か大きな動きに繋げられると思います。葉山さんも何か新情報をキャッチしたら、私にご連絡いただければ嬉しいです。」


■結び

イタリアングレイハウンド2匹と暮らす葉山さんのお話は、「都心×ファミリー×ペット複数飼育」という現代の住環境を象徴する内容でした。小学生の息子さんとのエネルギッシュな暮らしの中で、「愛犬たちとともに、のびのび暮らしたい」という思いが強くある一方、現実にはマンションの規約や近隣への配慮、防音や費用の問題が立ちはだかっています。
それでも葉山さんは、「多少高くても、ペットと子どもを堂々とのびのび育てられる環境がほしい」と、強い意欲を見せてくださいました。私もペット共生建築家として、“こんなふうに家族が笑顔で過ごせるマンションがもっと増えたらいいのに”と改めて感じています。
都心の地価やマンション開発には多くの課題がありますが、ペットを愛する方々の声が高まれば、きっと新しい物件やコミュニティが形になるはず。葉山さんのように「ただ住むだけでなく、犬や子どもとの暮らしをもっと満喫したい」という願いは、これからの住宅を考えるうえで大きなヒントを与えてくれます。
今後も私たちは、デベロッパーやコーポラティブハウスなど、多方面と協力しながら「人とペットが幸せに暮らせる住まい」を追求していきます。皆さんも“ペット共生”に興味をお持ちの際は、ぜひお気軽にご相談ください。大切なペットと共に、ストレスなく暮らす家――その理想を、一歩ずつ現実へと変えていきましょう。

Download
資料ダウンロード
Coming soon
Contact
お問合せ
ご相談・お問合せ
Download
資料ダウンロード
Coming soon
Contact
お問合せ
ご相談・お問合せ
Download
資料ダウンロード
Coming soon
Contact
お問合せ
ご相談・お問合せ