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ペットと暮らせる社会を、もっとあたたかく 

ペットと暮らすことが特別ではなくなった今だからこそ、「いのちと向き合うやさしさ」をもう一度見つめ直したい。
このコラムは、Pet Conciergeの監修者として、動物と人がともに心地よく生きられる社会を願い、獣医師・西田しのぶさんが日々の診療現場やご自身の経験から綴ったメッセージです。


子どものころの記憶から始まった想い

私が子どものころ、犬や猫は“外で飼うもの”でした。
玄関脇の犬小屋で、雨の日も風の日も丸くなって眠る姿を見て、「寒くないかな」「寂しくないかな」と胸がきゅっとなったことを今でも覚えています。
あの頃は、犬や猫と家の中で一緒に過ごすなんて、夢にも思いませんでした。

それから時代が変わり、人と動物の距離はどんどん近づいていきました。
今では“家族”として一緒に暮らすことが当たり前になり、生活の中でいつもそばにいてくれる幸せを感じています。

「困りごとQA」に込めた想い

獣医師として日々診療に携わる中で、「一緒に暮らすことの大変さ」や「いざという時にどうすればいいのか」という不安の声を多く耳にします。
そんな想いから生まれたのが、今回の「お困りごとQA」です。

このQAは、飼い主さんがふと立ち止まったときに、そっと寄り添ってくれる“やさしい手引き”でありたいと願って作りました。
ネット上には多くの情報があふれていますが、どれを信じていいかわからず不安になる方も少なくありません。
そんなとき、「まず安心して開ける場所」があったら——。

このQAでは、症状ごとにわかりやすい言葉で解説し、応急対応や注意点をまとめています。
犬種・猫種ごとの注意点や緊急時の対応もアプリで確認でき、飼い主さんの不安を少しでも軽くすることを目指しています。

住まいにも、やさしさを

私自身、動物と暮らしてきた経験から「住まい」というテーマにも強い想いがあります。
大学進学で一人暮らしを始めたころ、ペットと暮らせる賃貸住宅はほとんどなく、ようやく見つけた部屋は古くて駅から遠いものでした。
それでも「一緒に暮らせるなら」と迷わず選んだのを覚えています。
社会人になっても条件に合う物件は少なく、理想の設備や立地をあきらめることもありました。
15年前、大型犬を迎えた際には集合住宅で条件が見つからず、思い切って戸建てを購入。
そのとき痛感したのは、「人と動物が本当に共に暮らせる環境は、まだまだ整っていない」という現実でした。」です。

“ペット可”から“共に生きる”へ

これまでの「ペット可」物件は、ただ「動物を飼ってもよい」という意味にすぎませんでした。
でも、これからは“共に生きる”という価値観が必要だと思います。

ペットが家族として尊重され、動物を飼っている人もそうでない人も、心地よく過ごせる環境。
それこそが、私の考える**「ペット共生住宅」**です。

建物の構造だけでなく、正しい知識と心の余裕があってこそ、真の共生が生まれます。
夜に犬が吠える理由を理解していれば、イライラではなく共感が生まれます。
猫の体調変化に早く気づければ、病気の悪化を防ぐこともできます。

このQAは、そんな“知識のやさしさ”を届けたいという想いから作りました。
日常の小さな疑問や不安に寄り添い、ペットとの暮らしを支える存在でありたいと思います。

私が願うのは、“ペットを飼う”という発想から“共に生きる”という考え方へのシフトです。
ペットは、私たちの生活を豊かにしてくれる存在。
言葉を持たない彼らが安心して暮らせる社会は、人にとってもやさしい社会です。

このQAやアプリが、飼い主さんと動物の関係をより深め、地域の中で支え合う輪を広げていくきっかけになれば――それが私にとって何よりの喜びです。

家族の笑い声、足元で眠るペットのぬくもり、そしてお互いを思いやる小さな気づき。
そんな日常が当たり前になる未来を願って。
これからも、ペットと人がともに幸せに暮らせる社会を、一歩ずつ育てていきたいと思います。

西田しのぶ 獣医師/アニマルケアライフデザイナー

日本大学獣医学科を卒業後、20年以上にわたり動物病院に勤務し、犬猫の診療に携わる。
病気の治療だけでなく、予防や闘病中のQOL(生活の質)の維持にも力を入れ「ペットと飼い主さんが、いつまでも最高の関係でいられるように」一頭一頭に合った最適なケアを飼い主と共に考えて実施している。

ベッドコーナーもリビングも見える穴

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