
―ロシアンブルーとともに叶える理想のマンションリノベ。
猫視点の運動&植物との共存をどう実現する?―
お名前:吉永さん
お住まい:神奈川県・区分マンション
ペット:猫1匹
今回は、ロシアンブルーと過ごしている吉永さんをお招きしました。吉永さんは、現在のマンションを買い替えて大規模リノベーションをしたいと考えています。特に、愛猫の運動不足解消や、植物との共存(インドアグリーンのある暮らし)を両立する空間づくりについて強い関心を持っています。
■理想の住まいに向けたリノベーション計画
石原:
「本日は、ロシアンブルーちゃんとの暮らしをより快適にしたいというお話をぜひじっくり伺えればと思います。」
吉永さん:
「私自身は神奈川県で自営業をしていまして、今まではそこまで動物前提で家を選んだわけではなかったんです。でも最近、ロシアンブルーと一緒に暮らし始めて、やはりきちんと猫のための設計にしたくなったんです。今のマンションは築年数も古いので、買い替えて住みやすいように大きく手を入れたいなって思っていて……。」
石原:
「なるほど。具体的には、今のマンションから新しいマンションにお引越しをされて、その物件をリノベで猫と暮らしやすい空間にする、というイメージでしょうか?」
吉永さん:
「はい。マンションを購入して、リノベしたいと思っています。最近はロシアンブルーが少し運動不足で肥満気味なんです。だからキャットウォークとか、部屋の上のほうをぐるぐる回れるデザインを入れたい。でもモダンな雰囲気も好きですし、観葉植物を色々置くのも大好きなんです。そこを両立させたいのですが……なかなか良い提案を最初からしてくれるリフォーム会社が見つからなくて。」
■猫のための装備を空間と一体化する
石原:
「たしかに、一般的なリフォーム会社さんはパーツの話にとどまっていて、部屋のデザインの方向性と人とペットが共に暮らすアイディアをトータル提案してくれるケースは少ないと思います。
例えば、観葉植物が好きとのことですが、猫ちゃんが葉っぱをかじってしまうリスクも考慮して、棚の高さやガード、登れるルートをコントロールしてあげる必要がありますねので、猫が上りたくなる上下動とと植物の配置を上手く仕分けて考える必要がありますね」
吉永さん:
「そうですね。ロシアンブルーって活発なのに、わりとマイペースで“登りたいときだけ登る”タイプでもあるので、程よい高さにステップがあれば登るし、なければ寝そべってるだけってことも多いんです。どうやって運動させるか悩ましくて(笑)。でもたくさんキャットウォークを作り過ぎると、今度は見た目がガチャガチャしそうで……。」
石原:
「キャットウォークを考える時は、人と猫がいっしょに暮らす生活の場面や、猫にとっての快適さのストーリーを想像しながら計画することが大切だと思います。また、運動量を上げるためには、猫が自然と上りたくなる「なだらかな角度の階段」や、上った先に「見晴らしの良い落ち着ける空間」をつくるといいです。若い頃はアグレッシブに使うルートも、加齢と共に使われなくなる傾向があるので、DIYで加齢に合わせたルートを増設することも一つの方法です。」
「ちょうど去年の暮れに手掛けた、信濃町でのリノベーションがあるんです。そこはもともと2DK・40平米のヴィンテージマンションの一室だったんですが、天井の梁(はり)が大きくて、それを逆手にとって“下がり天井+キャットウォーク”のデザインにしたら、空間がすごく面白く仕上がりました。リノベ費用は900万円程度ですね。」
吉永さん:
「40平米で900万円……! だいぶ本格的ですね。写真とか拝見できるんでしょうか?」
石原:
「こんな感じです。(下記参考写真)天井をいくつかのレベルに分けて、低い部分は猫のキャットウォーク、そして高い部分は吹き抜け感を出すことで、人間にとっては広がりを感じる空間に。玄関には飛び出し防止扉を設けて、猫がうっかり外に行かないように配慮しています。」
吉永さん:
「すごく素敵。全体としては落ち着いたトーンの内装で、キャットウォークがそこまで目立たないようにできていますね。」
石原:
「そうなんです、人から見ると“間接照明を仕込んだ低めの天井”になっている。一方、猫から見るとそれは‘床’になるわけで、上を自由にぐるぐる歩いて過ごせる。途中で降りるステップを好きな位置にDIYで足せるように、壁は合板仕上げにしています。」
吉永さん:
「なるほど、DIYで自由にステップを増やせるのはいいですね。うちのロシアンブルーも、大きくレイアウトを変えるとやる気を出して登ったりしますので(笑)。」
■猫と観葉植物の共存
吉永さん:
「私は植物が好きなので、リビングに大きな観葉植物を置きたいんですが、うっかり猫がかじらないようにしたいのです。」
石原:
「観葉植物に限らず、いたずらされたくないものや壊れやすいものは、セキュリティの度合をどこまで上げるかがポイントになります。以前、大事なものを背よりも高い箪笥の上に置いて猫から隠せたつもりになっていたら、気づくと机から飛び乗ってとられてしまい、びっくりしたことがありました(笑。猫の跳躍力は想像を超えることがありますよね。
例えばひな人形。2体でしたらガラスのケースに入れたり、設計段階でガラス建具で仕切った壁面収納等を考えておくことができますが、段飾りになると、猫が入らない部屋を決めて飾らざるを得ないですね。
観葉植物も恰好の遊び道具になりかねないので、大きなものは専用の空間を想定する必要があると思います。デザインに配慮してサンルームのようなエリアをつくれば、逆に吉永さんのお部屋ならではの魅力的な空間構成になる可能性もありますよね。
イメージ図:

■今後の展望:バランスのよいリノベーション
吉永さん:
「とはいえマンションって、水回りとか配管の問題でできないことも多いじゃないですか。うちの場合、もし猫専用の簡易シャワーコーナーをお風呂場の脇に作れたらいいと思ってるんですが、やっぱりマンションだと難しいですか?」
石原:
「もちろん全部盛りにすると工事費も上がりますが、例えば合板等で壁を‘ネコDIY対応’にしておいて猫のステップは最低限に抑え、建築工事でやっておかなければならない大きなところに絞ると金額も抑えられます。
事例のような下がり天井をキャットウォークにする場合はメンテナンスがしにくくなるので、奥行は45㎝程度にしておくと猫ものびのびできて、いすなどに乗ればお掃除もできます。」
吉永さん:
「なるほど、つくるところと後から考えるところを仕分けながらリノベーションを考えて行けるといいですね。ありがとうございます、とても参考になりました。」
■結び
今回の相談会では、「ロシアンブルーが肥満ぎみなので、なるべく家の中で運動量を確保したい」という吉永さんの切実な要望がありました。紹介したリノベ事例からは、天井を利用したキャットウォークの作り方や、DIYでも棚やステップを自由に増やせる壁の工夫など、モダンなデザインと猫用スペースを共存させることが叶っています。
観葉植物好きの吉永さんは、グリーンを含めて空間を演出も大事なポイントでした。猫が葉をかじったりしないよう、棚の配置を考えて届かないようにしたり、植物に対するセキュリティを上げてうまくサンルーム的な空間がつくれると夢が実現できそうです。猫と観葉植物をモダンに楽しむ理想のマンションリノベ――その実現がどのように進むのか、今後が楽しみです。