Pet Lovers 世界をむすぶ 第3回

猫と飼い主の心は通じ合う?

―最新研究が解き明かす「人と猫の絆」のメカニズム


猫と暮らす中で、「あ、今この子は私と通じ合っている」と感じたことはありませんか?
控えめながらも甘えてきたり、そっとそばに来て寄り添ってくれるあの瞬間。

 それは気のせいではなく、科学的な裏付けがある――そんなことを教えてくれる研究が発表されました。2021年に『Frontiers in Veterinary Science』誌に掲載されたチューリッヒ大学・ターナー氏のレビュー論文(Turner, 2021)は、猫と飼い主の間におけるふれあいのメカニズムを分析し、私たちが感じてきた「猫との心のつながり」の実態を明らかにしました。

人懐っこさは“生まれつき”と“育ち”の掛け算

まず注目すべきは、猫の「人懐っこさ」がどこから来るのかという点です。
研究では、父猫からの遺伝的な要因が子猫の「大胆さ」や「好奇心」に影響し、それが「人との距離感」に現れることが示されています。そしてもう一つ大きいのが、生後2〜7週齢の間に人間とどれだけ触れ合ったか。この時期に人と接して育った猫は、新しい飼い主にも比較的早く心を開く傾向があり、少ない良い経験でも安心感を感じられるようになるのです。

逆に、社会化が不十分なまま成長した猫は、些細なことで人間不信になりやすく、新しい飼い主に慣れるまで時間と努力が必要になります。

そしてもう一つ大きいのが、生後2〜7週齢の間に人間とどれだけ触れ合ったか。この時期に人と接して育った猫は、新しい飼い主にも比較的早く心を開く傾向があり、少ない良い経験でも安心感を感じられるようになるのです。

逆に、社会化が不十分なまま成長した猫は、些細なことで人間不信になりやすく、新しい飼い主に慣れるまで時間と努力が必要になります。

触れ合いは「どちらが始めるか」で変わる

興味深いのは、猫と人間の接触が「誰から始まったか」が、その質に大きく影響するという点です。

ターナー氏の観察研究では、猫が自ら人に接近したときの方が、やりとりの時間が長く、質も高い傾向があることが判明しました。
一方、人間側から何度も接触を試みても、猫が応じない限りは、深い関係には発展しづらいのです。

さらに重要なのが、「お互いの接触要求にどれだけ応じ合っているか」という関係性の対称性。
人が猫のサインに応えてあげると、猫もまた、後に人の接触を受け入れるようになります。
この“双方向の意思疎通”が成立しているペアほど、長く深い絆を築いているのです。

性別や年齢でも変わる、猫との関係のかたち

「誰が猫と仲良くなりやすいのか?」という点も、科学的に検証されています。

興味深いことに、女性や高齢者の方が、猫とより“共感的で対話的な関係”を築いていることが分かっています。 女性は床に座って猫の目線に合わせたり、より多く話しかける傾向があり、それに応じて猫も積極的に反応します。

一方、男性や子どもは動作が速く唐突で、猫が警戒してしまうことも
特に男児は、初対面でいきなり猫に近づいてしまう傾向があり、猫が逃げる率が高いことが観察されています。このように、人間側の振る舞いによって、猫の接し方も大きく変わるというのが、研究から見えてきました。

猫が飼い主の「心の変化」に寄り添うとき

最後に触れたいのが、猫が人間の感情にどう反応するかという点です。

抑うつや不安を感じている飼い主に対して、猫はより多く頭や体をすり寄せたり、鳴き声で関わろうとする傾向があることが明らかになっています。

特に女性においては、猫とのやりとりが感情を安定させる効果が強く現れる傾向があり、猫の存在がメンタルケアに繋がっている可能性も指摘されています。

猫との暮らしがもたらすもの

このような研究は、猫との暮らしを「ただの癒し」ではなく、豊かなコミュニケーションのある“関係性”として見直すきっかけになります。

MUSUBI houseは、猫と人が自然なかたちで関わり合いながら暮らせる住環境づくりを大切にしています。

「ベラビスタ信濃町」では、猫の行動特性と人の暮らしやすさの両立を意識し、キャットウォークとしても機能する下がり天井や、猫が自由に動き回れる導線を設計に取り入れました。

“猫は自由気ままな動物”と言われがちですが、実は私たちの反応や感情をしっかり読み取っているのです。
その理解を深めることで、もっと豊かで深い「猫との暮らし」が始まるかもしれません。

参考論文

Turner D. C. (2021). The Mechanics of Social Interactions Between Cats and Their Owners. Frontiers in veterinary science, 8, 650143. https://doi.org/10.3389/fvets.2021.650143

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